食べちゃいたい。
ともかくこの家から出なくっちゃ!

リビングに置いたままだった携帯を手にとり玄関へ走った。



「............待ってよ」


背後で聞こえた男の声にあたしの頭に残っていた冷静を奪いさった。
ぷちっと緊張の糸が切れたみたいに溢れだす悲鳴。



「いやああああああああああああああっ!」

もうやだなんなのよっ!

慌てて靴を履いて玄関のドアを開いて外へと飛び出そうとした瞬間ーー。

腕を、捕まれた。
酷く冷たい手で。




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