食べちゃいたい。

｢違う.....っ！俺は、見たんだっ！｣

振り絞るような声に羽賀君を見ると口の血を拭いながらお兄ちゃんを睨みつけていた。
殴られたのはお腹のようでお腹を手で押さえている。

｢お前何をっ！｣

お兄ちゃんの手が再び羽賀君へと伸びようとしたのであたしは慌てて羽賀君の手を取りすぐ横にあったお兄ちゃんの部屋へと逃げだした。

お兄ちゃんの部屋には鍵がついてあるから時間稼ぎになると考えたからだ。

今のお兄ちゃんは頭に血が上って普通じゃない。少し頭を冷させる時間が必要だから...。

バタンッ！
間に合った...！
あたしは慌てて鍵を閉める。


｢唯！唯！ここを開けろお｣

お兄ちゃんがドアを激しく叩く。
あたしはドアを背にして叫んだ。


｢やだよ！少し頭を冷やしてっ！...羽賀君大丈夫？｣

｢あぁ。悪い...。警察に電話しないとな｣

｢え...。どういうこと？それに羽賀君は...｣

｢俺は相原を助けにきたんだ！｣

｢どういうこと？｣

なおドアを叩き喚いているお兄ちゃんを気にしながそう尋ねると羽賀君は携帯の操作しその画面をあたしに見せた。

｢なに、これ......｣