食べちゃいたい。
「唯。実は急に明日から出張を頼まれたんだ」


食事の途中、お兄ちゃんが思い出したかのようにそう切り出した。


「え…」

家に一人なんて怖くてたまんない。

露骨に嫌そうな顔をするあたしをお兄ちゃんがプッと笑った。

「大丈夫だよ、一晩くらい。心配なら友達の家に泊まってもいい」

「…うん。一晩くらい大丈夫、だよね」

泊まらせてくれるような友達がいないあたしはどうやら明日一晩ひとりで過ごすしかないようだ。




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