ア・イ・シ・テ・ル―手話が奏でる恋のメロディ―
プロローグ
ただ泣いて笑って過ごす日々に
隣に立っていれることで
僕の生きる意味になって
君に捧ぐこの愛の唄
あたしが手話で歌い、拓斗がギターを弾き口で歌っている。
曲が終わり、目の前を見ると、見ていた(聞いていた)人々がが拍手をしていた。
「大成功だな」
拓斗が手話と口であたしに囁(ササヤ)いた。
(そうだね)
あたしも手話で小さく囁いた。
あたし、拓斗に会っていなかったら音楽の世界で生きることって多分なかっただろうな。
だって耳聴こえなくてまともに口で喋れない人が音楽なんてお笑い草じゃん。