ヘタカレ王子様。



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「………それじゃ…

今日はありがとう。
楽しかったよ」



「う…、うん…」






キスをしたのが、よっぽど恥ずかしかったのか、戸唖は少々俯いている。








前に…


あんなキスしたくせに…。






「………」




塀を、閉める。



弾けたように、戸唖が顔を上げて、






「…、世奈っっ!!」









振り返ると、











いきなり塀越しに

抱きしめられた。
















「世奈っっ!


大好きだっっ!!」





なんて叫んだのである。








そんな不器用で、

真っ直ぐなヘタレ彼氏に





「…わかってる。

大好き。戸唖…」





ぎゅっ、と


彼の背中を抱き返した…。





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