ヘタカレ王子様。
私とウワサ。
夏休みを目前に
学校では変なウワサが
流れていた…。
「ねっ!知ってるー??
戸唖くんって…
累(ルイ)ちゃんと付き合ってるらしーよぉぉ~」
「え~っ!
あの可愛い相田(アイダ)累~!?」
「でもさ…
成績優秀の世奈ちゃんと付き合ってるんでしょ?」
「累ちゃんも世奈ちゃんも…カワイイ~!」
女子トイレで、
そんな会話を聞いてしまった…。
私は女子トイレを飛び出して、ツカツカとあいつの席に近寄っていく。
まわりの男子の「ぅゎあ」という歓声と、
まわりの女子の「世奈~」という声が聴こえたが
私は今、それどころではないっ!
「とっ…」
「戸唖くんっ!!
ねぇ知ってる!?」
累が先だった…
累の掛け声に、
まったくの無関心で
「ん~。知らない」
よっしゃ!
もっと鬱陶しくしろ!
「や~だ戸唖くん~っ。
まだ何にも言ってないよ~っ!」
……ダメージが低いっっ。
「…今、考え中」
よしっ。
振り払うんだっ!
「戸唖くん…
ねぇ、こっちむいて」
なんだこの甘い声はぁぁっ