ヘタカレ王子様。
「…………っ、ふんだっ!」
ぶりっ子らしい言葉を残して、累は教室を去った…。
「なんであんな、
ウザい奴がいるのかねっ」
吹っ切れた後の清々しさで、
優衣はそう言い放つ。
「ありがとうっ、優衣」
そうお礼を言い笑むと、
呆気なく優衣の顔が歪んだ。
よしよしと
私の頭を撫でながら、
「あんたは可愛いねェ。
おい戸唖、世奈泣かしたら承知しないからね」
戸唖の口から、
小さな小さな、消極的な声が洩れた。
「………はぃ……」