ヘタカレ王子様。
私とメール。
今日の夕飯はカレー。
玄関の扉を開けた私は、そう予測する。
「ただいまぁー!」
「おかえりー」
のんびりとした母の声が返ってきて、
私は真っ直ぐリビングに向かう。
やっぱりカレー!
色からして、甘口だ!
「甘口でしょ?ねっ」
「当たりー。
今日はテストの成績が返ってくるからねー」
ああ。そうだった。
別にテストは嫌いではない。
静かに自分の席で寛げるからだ。
成績も良い方だし、
心配することもない。
それを見通してか、両親は私に勉強を押し付けることをしなかった。
返ってそれが、良い影響になったのだ。
「ぇっとねぇークラス順位が2位で、学年順位が3位だったー…気がする」
へぇ、という母の成る程な声。
ひとつ置いて、
母は気づいた。
「制服のまま!猫の毛がついたらどうするの」
「もしかして、
ナナ、ソファに座ったの?」
噂をすれば影が差す。
ナナが、のんびりした動作でソファに居座った。
うちで飼ってる一匹の、
モサモサした愛らしい猫。
種類はよくわからないが、とりあえず灰色と白を入り混ぜた模様の猫である。
「のっちゃった☆」
母がにぱ、と笑った。
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夕飯と風呂を終わらせ、
自室の部屋でケータイを開いてみた。
【Eメール 一件】
戸唖か優衣かと思いきや、
名前はなかった…