ヘタカレ王子様。
いっつも泣きそうな顔して、いっつも縋って来る。
でも、急に凛々しくなったりして、わたしの心を奪ってく。
…意味わかんない。全く。
「はあー…」
「ちょっ、何よ そのハアーは!」
店を出て、戸唖はベンチにわたしを降ろすと溜息をついた
「だって何か、重――あでッッ!!」
全てを言い終える前に、わたしはワンピースを翻らせて戸唖を蹴った。
レディになんてこと言うのよ、目線。
「なんでだよー…」
世奈、訴え視線が失敗したわ。こいつは重症ね。
「…わたしは、無意味に蹴ったりしないわ」
今度は戸唖から「なんでだ」目線。痛い。反らす。見なかったフリ。