ヘタカレ王子様。
「……あー、やっちゃったわね。ソレ」
昼休みの昼食。わたしは、藍と優衣とで昼食をとることにした。
戸唖とは…すれ違ったけれど、目さえ合わなかった。
それがどうしようもなく寂しくて、切なくて。
「世奈ー、もっと食べなさいよ。ただでさえ痩せてんのに」
あむ、と藍は無理やり自分のウィンナーをわたしの口に、突っ込んだ。
「…美味しい。」
「うんうん。いくらでもやるから、元気出して」
藍はお約束のキュートな笑顔でわたしを励ましてくれた
「ケンカなんて…3年も付き合って、今頃?」
ウィンナーを口の中で咀嚼して、わたしは答える
「…うん」
カクッ。
藍と優衣は苦笑い。
「でも、あたしだったら絶対に別れてるわねー。
世奈はエライ」
「………。」
不穏な空気が流れる中でも、藍は黙々と弁当を消費する。
……小悪魔。