ヘタカレ王子様。


安心していたところで、
事件は起きた。




「戸唖?」

なるべく低い声で、満面の笑顔を浮かべる。

「ん?なにー?」
背中を向けている戸唖は今、手料理を作っている。
わたしは料理なんて出来ないのに…。

よし。
チェックメイトよ、世奈。


「これ、なぁに?」


ピラッ。
振り返った戸唖の顔を見て、推測をたてる。

このあと戸唖はこう言う。
“ 無理やり付き合わされた ”。

「むっ…ムリヤリ付き合わされたんだっ」
「ふーん?だったら何よ?行ったんでしょ?」

そして戸唖はこうごまかす。
“ 弱点握られてて ”

「そう言ったって、弱点握られてて…」
ぜぇんぶ筒抜けなのよ、戸唖ぁ?


わたしが手に持っている(くしゃくしゃにしたけど)1枚の写真。

その中には、『カップル愛にカンパイ!』という看板の前でお姫様と王子様の姿をした2人の姿が。

知ってる此処。
前にわたしが戸唖と入ろうとして、戸唖が嫌がったからやめた店………。





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