ヘタカレ王子様。
でも、悔しながらあの二人はお似合いだと思う…。
小柄な体で、天使の笑顔を持っている藍。
細身だけど魅力のある美男子、聖門瑠可。
聖門瑠可なら、あの藍を守ってくれそうな気がする。
「あ。戸唖が動いた」
優衣の一言ですぐに我に返った。
戸唖が不機嫌そうに、食べ終わった学食を持って立っているところだった。
「もう、付き纏わなくていいから。」
「えっ…戸唖君ッ!」
ふっ。
ざまあみろ麻里!!
やっぱり戸唖はわたしの戸唖、そう安心していると
―ガシャンッ!!
周りの視線が一点に集まる。
白い器が、まばゆいほど粉々に砕け散っている
だけど皆、食器になど目をやっていなかった。
そこには
麻里にキスをされた戸唖が居る。