ヘタカレ王子様。


「――あっ」




名前を呼ばれて振り返ると、

反動で涙が落ちた。




違う…


これは涙じゃないよ

違うもん




「世奈。どうした?

言ってみろ」






下駄箱で佇むわたしに声を掛けたのは、楢崎君。



強い、でも全てを預けたくなるような瞳をわたしに向けて


手を握ってくれた…






一気に、募らせていた想いが逆流しそうになる









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