満月の夜に私は彼に囚われる
「楓、目を覚ましたみたいだね」


「春樹、ありがとう」


彼に手伝ってもらいながら、体を起こす。


「あぁ、彼は俺の腹違いの弟。前に一度会ってるんだけど、覚えてる?」


「・・・ごめんなさい」


彼を見ると、ものすごく胸が苦しくなるのに、思い出そうとすればするほど、思い出せない。


< 10 / 17 >

この作品をシェア

pagetop