スティグマ~いつかあなたへと還る~
「うっ、うう……この上ない恥辱。わたくしは現世を捨てて神に仕える身となったのです」


「ならざるをえなかった、でしょう」


 潔癖感のある声でルナが言った。


「けれど」


 彼女もまたこの女を糾弾はしなかった。


「たった一時でも、たとえかりそめのものとしても、愛にじゅんじたのなら本望のはず。あなたの過去のおこないを責めはしません」


「そう、ましてやおなじ神をいただく身ではありませんか。わたくしたちは十分な水が欲しいだけなのです」
 

 ダーナが言うと、すかさず帽子を逆さにしたような袋を出してきた。


「よろしければ、わずかなりと献金を」


「むろんです」



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