俺様彼氏に気をつけて!?
そう言いながら私が立ち上がったとき、

……ちゅっ

……へ?

「な、ななななっ……なにすッ」

今、こいつは私のほっぺにキスをした。

「何って……キス?」

んなこたぁ分かっとるがな!

「別にいいじゃん、彼氏なんだから」

「ッだから私は……!」

「はいはい、彼女“仮”だろ?」

っむかつく~~~ッ!!

馬鹿にしたように笑いやがってええええ!!!

あんたなんか……ッ

「だいっきらい!」

「顔真っ赤にしちゃってぇ、かーわい~」

!!!

私は慌てて手で顔を隠すけど、もう手遅れ。

「ほんとに嫌いだったら、んな顔しねーだろ」

ヤツはまた、馬鹿にしたように口角を上げて笑った。

ほんっとこいつはぁ……ッ

さっき“もっと話していたい”なんて思ったのは気のせい!

何かの錯覚よ、錯覚!!

もしくはこいつの策略にまんまと引っかかっただけ!

「明日もちゃーんと俺様のために弁当作ってこいよ」

「うっさい! あんたなんかハゲちゃえッ!!」

バターーーーン!!!

何様なのよあいつは!

私は扉をおもいっきり閉めてずんずんと階段を下りた。

やっぱりあんなヤツのパシリになんてならなきゃ良かった。

毎日こんなんが続いたら身がもたないって!

……ピタッ

「はぁぁぁ……」

私は立ち止まり、大きく深呼吸をした。

そして……

ガラッ

教室のドアを開けた。
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