俺様彼氏に気をつけて!?
あ、だめだ。

眠くて頭はたらかない。

「ふぁ~……」

机に突っ伏して、やまもっちゃんの声を子守唄のように聞きながら眠った。

――――――……

――――……

「――…な、……ひな」

…………。

「起きろ、ひな!」

「……ふぁ?」

「ふぁ? じゃない! もうH・R終わったんですけど!!」

……なんだ佳奈か。

ていうかやまもっちゃん、私が寝てるの気づかなかったのね。

それって大丈夫なのか? 教師として。

「ほらほらぁ早く帰ろうよ!」

うっわ、佳奈めっちゃランランしてる。

ものすんごいワクワクしてる。

よっぽど昼休みのことが気になるのね……。

「二人とも何してるの? 早くしてちょうだい」

ドアに寄り掛かっていた水樹が、怪訝そうな顔で言う。

どうやら私が起きる前からずっとそうやって待っていたみたい。

ごめん、水樹。

心の中で謝って席を立った。

靴を履き替えて外に出る。

ちょうど校門を出た頃に、

「……で、 そろそろ聞いてもいいでしょ?」

佳奈が口を開いた。

「うん。二人にはちゃんと言うよ。隠し事したくないし」

「……言うって、何のこと?」

一人状況を読めていない水樹が尋ねる。

そっか。佳奈に耳打ちされたこと水樹は知らないんだった。

「私が昼休みにどこで何をしてたのかってことだよ」

……それから私は全てを話した。

あの日、市瀬千晶の顔を殴ってしまったこと。

それのお詫びとして、千晶に纏わりつく女子を減らすために彼女“仮”になったこと。
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