俺様彼氏に気をつけて!?
「いえ、何でも」

くすくすと笑いながら席に着いた。

佳奈も可笑しそうに笑っていた。

それを見て少しほっとしたな。

「そ、そうか……じゃあ出席とるぞー」




――キーンコーンカーン…………

きたか。

昼休み!

もちろん今日も私は千晶のパシリ。

鞄からあいつのお弁当を取り出す。

「……大変ね、嫌ならもうやめていいのよ?」

いや、水樹……むしろもうやめちゃえってゆう顔しないで下さい。

「あんなカスが私のひなの手料理を……ぜってー許さねえ……」

ちょ、おいおいおい!

水樹キャラ変わってるよ!

暗黒のオーラが怖いよ!!

私は大きくため息を吐く。

何か最近ため息多いな、私……。

「殴った私も悪いんだし、それに一ヶ月だけだから頑張るよ」

そうだ、一ヶ月耐えれば開放されるんだ!

だったらやってやろうじゃないのよ!

「じゃ、そろそろ行くね」

回れ右をして走り出そうとして佳奈に呼び止められた。

「ひな! あ、あのね……」

「ん? どうしたの?」

佳奈は何か言いにくそうにしていた。

本当にどうしたんだろう。

「き、今日の放課後、聞いて欲しいことがあるの!」

ばっと顔を上げてそう言った。

最近佳奈が暗かったのは、その聞いて欲しいことと関係あるのかもしれない。

「もちろん聞くよ。あ、じゃあもう私行かなきゃ!」

私は佳奈の頭をなでてから走り出した。

ちらっと振り向くと、佳奈はほっとした顔をしていた。

何はともあれ、これで少しは元気になるといいな!
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