俺様彼氏に気をつけて!?
もじもじと言う佳奈はとても可愛くて、どこから見ても恋する女の子だった。

そんな親友の頼みを断れるはずがないじゃない。

「任せろ佳奈! 私が協力すれば千晶なんてイチコロさ!!」

佳奈と肩を組みながらそう言い切った。

イチコロって(笑)

「ちょっとひな……いいの?」

水樹が心配そうに聞いてきた。

「私だって応援してあげたいけど、相手はあの市瀬よ?」

うん。水樹の言いたいことはよく分かるよ。

でも……

「それでもやっぱり佳奈には幸せになってもらいたいもん」

そうだよ。佳奈が望むなら協力してあげようじゃない。

それにアイツ……千晶も、そんなに悪いやつじゃないって最近分かってきたし。

「そうだけど……」

水樹はまだ何か言いたそうな顔をしている。

「私はひなのことも心配。 あなた本当に市瀬のこと好きじゃないの?」

……!!!

どうしてそんなこと聞くの……?

私は千晶の仮の彼女で、一ヶ月経てばもう話すことも出来なくなって……

だから好きとか、そんな感情は持っちゃいけない。

私は千晶に恋愛感情を持っていなかったから傍にいることを許されているだけ。

もしそんな感情を抱いてしまったらきっともう一緒にはいられないだろう。

だから私は……

「本当に好きじゃないよ。だから大丈夫」

そう言って水樹に向かって笑った。

「……ひながそう言うなら分かったわ」

「ぅわーい! ひなありがとー☆」

佳奈が抱きついてきた。

「……頑張るんだよ佳奈」

「うん!」

どうして? 胸が苦しい。

涙が出そうになる……。

「じゃあね、ひな!」

「……また明日ね」

そして私は一人で帰路に着いた。
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