俺様彼氏に気をつけて!?
――ボフンッ
「……はぁ……」
家に着いて真っ直ぐに自室へ向かい、ベッドにダイブした。
何か頭の中ぐちゃぐちゃだ……
佳奈達と別れた後もずっと水樹の言葉がぐるぐるしてる。
「本当に好きじゃないの……か」
その質問に私は好きじゃないと答えた。
嘘は吐いていない。
千晶のことなんて何とも思ってないんだから。
確かに最近あいつのこと結構いいやつだと思い始めてたし、嫌いじゃない。
だけど恋愛感情なんて無い。
……違う。
あっちゃいけないんだ。
私が千晶に恋愛感情を持つのはいけないこと。
そう。 だから私は佳奈に協力する。
佳奈と千晶を両想いに……
「あ、あれ……何で涙なんか……っ」
気づいたら涙が頬を伝っていた。
止めどなく制服のスカートを濡らしていく。
目を閉じると瞼の裏に浮かぶのは千晶の顔だった。
意地悪な笑み、無邪気な笑み、優しい微笑み。
そして時折見せる幸せそうな横顔……
どれも千晶が私だけに見せる表情だった。
「私……わたしはっ」
……ようやく気づいた。
私はいつの間にかこんなにも千晶のこと……好きだったんだ。
こんなにも愛おしくて、こんなにも会いたい。
今すぐ会いたい。
どうして今まで気づかなかったんだろうってくらい好き。
でも、次に浮かんだのは佳奈の顔だった。
私のこの気持ち、佳奈が聞いたらどんな顔するんだろう。
「佳奈……ごめんね」
本当にごめん。
それでもやっぱり抑えきれないの。
やっと気づけた……千晶が好きって気持ち。