俺様彼氏に気をつけて!?
「う、うん。……大丈夫」

ケガは大したことなく、擦り傷程度ものだった。

所どころに痣はあるけど。

「大丈夫ってツラしてねーだろ。 まぁ当然か」

確かにケガは大丈夫だけど、心の傷は大丈夫じゃなかった。

……どうして?

誰があんなこと……

また涙が出そうになってきて、唇を噛む。

それに気づいた千晶は、

「……ごめんな」

そっと私を抱きしめた。

「どうして千晶が謝るの?」

「俺と一緒にいるといつかこうなるって分かってた。……分かってたのにお前を傍に置いていたんだ……こうなったのは俺の責任だ」

辛そうな顔で私を見る。

そして……一言告げた。

「俺たちはもう、一緒にいないほうがいい」

……っ!!!

何でそうなるの?

私は、たとえどんなことをされても千晶がいれば耐えられるって、そう思ってたんだよ?

たった一ヶ月しか続かないこの関係なら、せめて今を大切に過ごそうって思ってたんだよ?

なのに……それも出来なくなるの?

「……まだ一ヶ月経ってないじゃない」

こんなことしか言えない自分が歯がゆい。

「それはもういいんだ。俺はもともと怒ってなかったしな」

「じゃあ何で……ンッ」

言いかけた私の口を千晶は、

……ちゅっ

キスで塞いだ。

これが私のファーストキスだった。

「……俺の勝手につき合わせてごめんな。 もう彼女は解消してやるよ」

私の頭を撫でながら微笑んで「じゃあな」そう言って一人屋上を出て行った。

「千晶……っ」

これで終わりなんて、さよならなんてヤだよ……

「ちあ、き……!」
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