俺様彼氏に気をつけて!?
「佳奈、水樹、今日の昼休みに言いたいことがあるの」

そう言うと水樹は全てを察したようにニコリと笑った。

「分かった! あ、もうチャイム鳴っちゃうじゃん!」

佳奈は慌てて席に戻った。

ちなみに佳奈の席は一番廊下側で、私と水樹は窓側。

佳奈は一人だけ離れているのでいつもふてくされていたっけ。

間もなくしてチャイムと同時にやまもっちゃんが入ってきた。

何か……いつも平和なやまもっちゃんを見てるとすごく落ち着く。

さて、今日こそ言うぞ。

私は千晶が好き。

今思うと千晶と別れたのはかえって良かったかもしれない。

これで堂々と佳奈と闘えるから。

千晶……私、がんばるよ。

あなたが平和な学校生活を取り戻してくれたおかげで、目的を見失わずに済んだ。

ありがとう。

好きです……千晶。

伝えたいよ、この気持ち……。




千晶said

「俺達はもう、一緒にいないほうがいい」

俺がそう言うと、ひなは悲しそうな顔をした。

『……まだ一ヶ月経ってないじゃない』

かすれた声で搾り出すように呟いた。

目には薄っすらと涙が浮かんでいる。

「それはもういいんだ。俺はもともと怒ってなかったしな」

そう。ひなに突然殴られたあの日、俺は怒っていたからひなを彼女にしたわけじゃない。

俺はただ……

『じゃあ何で……ンッ』

ひなが何か言いかけていたけど、俺はその口をキスで塞いだ。

何を言いたいのか分かっているから。

ひなは明らかにファーストキスだという顔をしていた。

それを見て、こんなときに不謹慎だけど俺は嬉しかった。

ひなは嫌そうな顔をしていない。

……それだけで十分だ。
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