俺様彼氏に気をつけて!?
短い時間だったけど俺は楽しかったよ。

ひなと一緒に過ごせて。

ひなの傍に居られて。

出来ればもう少し、せめて約束の一ヶ月になるまでは一緒にいたかったけど。

俺といるとひなが酷い目に遭うから。

「俺の勝手につき合わせてごめんな。もう彼女は解消してやるよ」

最後にひなの頭を撫でて、

「じゃあな」と小さく呟いて、

俺は屋上を後にした。

階段を下りながらひなの泣き声を聞いていた。

ごめんな、本当にごめん。

俺のせいでツライ思いさせて。

……これで良かったんだよ。

俺から離れればいずれ噂は消える。

ひなのためなんだ……分かってくれ……。




次の日、俺は登校して真っ先に2組の教室へ向かった。

ひなが来る前にやることがある。

ガラッ

俺が入ると、女子共が騒ぎ出す。

……あぁうぜぇ……

すると今度は口々に昨日のことを聞いてきた。

「昨日のことは誰かのイタズラだ。だから今すぐ忘れろ」

そう言って思いっきり女子共を睨んで、教室を後にした。

……ひなに何かしやがったらぜってー許さねえからな。

それから廊下で騒いでいる女子にも、自分の教室の女子にも同じことを言って俺は席に着いた。

これでひなへの嫌がらせは消えるだろう。

「おはー☆ 千晶ぃ、なに恐い顔してんだ?」

こいつは俺のダチの速水奏斗(かなと)。

もちろん同じクラス。

中学からの付き合いで、何かと話の分かるやつ。

身長は170㎝とまぁまぁ大きい方だが、180㎝の俺と並ぶとそんなに目立たない。

明るい茶色の髪をしていて、性格もかなり明るい。

……いや、こいつの紹介は置いといて。
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