俺様彼氏に気をつけて!?
「やぁーっと終わったぁー!」

大きく伸びをしながら言った。

これで今日の授業は全て終了!

あとはホームルームが終わったら帰るだけ。

最近一日が長く感じる。

千晶と過ごす時間が無くなったからかな?

前はあんなに嫌だったのに、いつの間にかすごく待ち遠しくて。

一日の楽しみになっていた。

屋上で千晶と話すのが好き。

千晶の隣に座るのが好き。

そこから千晶の楽しそうな横顔を見るのが好き。

私の作ったお弁当を美味しそうに食べてくれるのを見るのが好き。

時々寂しそうな目で私を見るの。

そんな顔も好き。

全部、全部好き。

私は千晶の全部が好きなんだ。

けれど今はこんなにも遠い。

もしあのままでいられたのなら、仮の彼女のままでも良かったと思う自分がいる。

でもそれじゃ我慢出来ない自分もいる。

どっちも本心。

「あぁ~~もうッ!!」

もやもやした考えを振り払うように頭を振った。

「水樹、佳奈。私ちょっと涼んでくるね」

「いってら~」

「……行ってらっしゃい」

私は一人で教室を出た。

特に行くあてもなくブラブラと歩いていた。

1組の教室の前を通ったとき中を覗いて見たけど、千晶の姿は無かった。

今日もサボっているのかもしれない。

足は自然と屋上へ向かって動いていた。

とにかく今は誰もいないところで一人になりたかったから。

カツン、カツン――

静かな空間に私の足音だけが響いている。

そして私は屋上の扉を開けた。

ギ、ギギギィ~…
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