俺様彼氏に気をつけて!?
相変わらず不気味な音。

屋上には予想通り誰もいなかった。

よく陽のあたる真ん中らへんの場所。

千晶がいつもいる場所。

そこに私は腰を下ろした。

陽だまりにそっと手を当てると、ほんのり温かかった。

ふと空を見上げると、雲一つない青い空が広がっていた。

まさに晴天。

私の心とは正反対だ。

千晶と別れたあの日から、私の心はどしゃ降り。

止むことの無い雨がザーザーと降り続いている。

「千晶……会いたいよ」

そっと呟いた。

「前みたいに隣に居たい。あなたの声を誰よりも近くで聞いていたい」

膝の上で組んだ腕に顔を埋めて搾り出すように声を出す。

「千晶の笑顔が見たいよ……っ」

どんなに願っても叶わないんじゃないか、

もう無理なんじゃないか。

そんな不安が込み上げてきて思わず泣きそうになる。

溢れ出しそうな涙をグッと堪えて立ち上がった。

……そろそろ教室に戻らなきゃ。

そう思って冷たい扉を閉めて階段を下りた。

そしてそそのまま教室に戻るはずだった。

けれどそれは出来なかった。

それは突然やってきたからだ。

「あっ……」

階段の途中で私は激しい眩暈に襲われた。

立っていられない。

私は思わずしゃがみ込んだ。

「はぁっ……アッ……」

目の前が真っ白になる。

次の瞬間、気付くと私は――

階段から真っ逆さまに落ちていた。

ドサッッ!

鈍い音と軽い衝撃があった。
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