俺様彼氏に気をつけて!?
こうなったらもうヤケクソだぁ!

私はその場で正座をし、全力でヤツに向かって土下座をした。

「すいませんでした! どうか命だけはご勘弁をッ!!」

てか、何時代のひとだよ。

でっでもでも、怖いんだもん。

人ひとり殺せそうなくらいの眼光放ってたんだよ!?

赤ちゃんなら即死決定だって!

とはいえ、ちょっとやり過ぎた感が……

コンクリの地面におでこを何度も打ち付けて半泣きで謝るなんて。

しかしここまですればさすがのこいつも……

そう思って少しだけ顔を上げてみる。

「!!!」

だめだ、まだ睨んでる!

しかたない。女の最大の武器にして最終兵器であるアレを使うか。

私は覚悟を決めて「すぅっ」っと大きく息を吸った。

そして……

「ホントごめんなさい! 何でもしますからぁ~!!」

これが私の精一杯の泣き落とし。

ていうか、演技とかじゃなくて本気で涙出てきたし。

「……ふっ」

「え?」

「ははははははははははッ!!!!!!」

驚いて顔を上げると、そこには腹を抱えて爆笑しているヤツがいた。

あれ? ついさっきまでの怖い顔はどこいった?

「あ、あのぉ?」

「ははは、は…ヒー……」

てか笑い過ぎだっつの!

「はぁ……腹いてぇ」

「あの、何がそんなに可笑しいんでしょうか?」

私は思い切って彼に聞いてみた。

「は? だって土下座だぜ? ありえねーって! しかも半ベソかいて!」

あぁはいはい。そーですねー!

私だって好きで土下座なんかしたわけじゃなんですけどね!

むしろやらせたのはあんただろうが!
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