俺様彼氏に気をつけて!?
ギュッと強く私を抱きしめる。

今、何が起こっているの?

状況が理解出来ず、私は千晶の胸を押して顔を上げた。

「ちょ、千晶」

「ごめんな、ひな」

なんで千晶が謝るの。

「泣かせてごめん。突き放してごめん」

ちあ、き?

「俺も……ずっとひなが好きだった」

「たぶんひなが俺を好きになるよりも前から、ひなだけを見てた……っ」

嘘でしょ?

千晶が私を、好き?

なら、どうして

「どうして離れたのッ」

一度乾いた涙の跡を辿るように、再び涙の筋ができる。

嬉しいやら驚いたやらでもうわけが分からない。

「俺といると、また女子に酷い目に遭わされるから」

それじゃあ千晶は……

「ひなが傷つくくらいなら離れようと思った」

千晶は全部、私のために?

私のために自分が傷つくことを選んだの?

「馬鹿、千晶のばかぁ!」

「なっ」

「私が千晶と離れて、それで平和に暮らして、そんなんで喜ぶと思ってんの!?」

私は千晶の胸をドンドンと叩いた。

「どんな目に遭ってもいいの! 千晶が傍にいてくれるならそれだけでいいの!!」

千晶がいれば耐えられるから。

千晶がいれば何だって怖くないから。

だから……

「もう離れるなんて言わないで! お願いだから傍にいて……っ」

「もう離さないから、ひな」

そう言って私の顎をクイっと持ち上げる。

「一生逃がさない。だから……覚悟しろよ?」

そして私たちは――
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