俺様彼氏に気をつけて!?
……って

「はぁぁぁ!?」

「ぅるせーよ」

「え、ちょッ今なんて?」

「うるせーよ」

「その前!」

「俺の彼女になってくんね?」

どうやら聞き間違いじゃないらしい。

でも彼女ってどういう風の吹き回しよ!

そもそもなんで私!? たった今初めてしゃべった相手なんですけど。

「あの、なんで私なんでしょうか……?」

「俺にキャーキャー言って纏わりついてこないから」

まぁ私はそんなに男の子に興味ないし。

「じゃあ、どうして彼女なんでしょうか……?」

それだけの理由なら、別に彼女にならなくたっていいのでは?

別に友達とかでもいいじゃない。

「あぁ、彼女っていってもほんとに付き合うわけじゃねーから。つまり彼女(仮)ってやつ?」

……はい?

「彼女でもいれば、あのやかましい女共も少しは黙るかなって」

あぁそういうことね。それなら……なんて言うと思ったか!!

「ふざっけんな! だれがそんなこ――」

「一ヶ月」

「は?」

ヤツは私の言葉をさえぎって唐突に言った。

「一ヶ月彼女やってくれたら、このことは許してやるよ」

そう言って私が殴って真っ赤に腫れ上がった左の頬を指差す。

「でももし断るってんなら……」

「な、なによ……」

私はいつの間にか壁に追い詰められていた。

背中にヒヤリとしたコンクリを感じる。

「どうお仕置しちゃおーかなー」

にやりと笑みを浮かべながら、私の耳を舐めてくる。

「ひゃっ」

「どうする?」

私は顔を上げてキッと睨んだ。
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