俺様彼氏に気をつけて!?
「やりますよ! やればいいんでしょ!?」

完全に私の負けだ。

それに確かに殴ったのはやりすぎたかな? ってちょっと思ってたし。

まぁ一ヶ月くらいすぐ終わるでしょ。

なんて考えた自分が甘かった……。

この約束の一ヶ月が私にとってどんなに長い一ヶ月になるかなんて、このときの私はまだ知らない。

「んじゃ決定な。まぁぶっちゃけ彼女という名の“パシリ”なんだけどね」

「は?」

「今更やめるって言っても遅いから。せいぜい頑張りなよ?彼女ちゃん」

そう言いながらこいつは私の頭をポンポンと優しく撫でた。

「これからヨロシクな」

「……ッ!」

嘘……ヤツが微笑んだ?

さっきのような意地悪で、何か企むような笑みじゃない。

本当に、心からの優しい微笑み。

そして微笑むと同時に彼の綺麗な黒髪がサラリと揺れた。

私はこのとき、不覚にも、少しだけドキッとしたんだ……。

「あ、そうだ……ひな」

「ッは、はい!」

びっくりした。いきなり呼び捨てにするから……。

「明日から毎日俺の弁当作ってこいよ」

「え、何で?」

「“彼女”ならそれくらい出来るだろ」

にやりと不気味に口角を上げて言った。

あ、また意地悪な笑みに戻ってるし。

「ちなみにお前に拒否権はナイ。もし誰かに嘘の彼女だってバレたら、キッツーイお仕置きしちゃうよ♪」

「んな!!」

そんな理不尽な!まぁでも、お弁当くらいなら安いもんかな。

しかたない。殴った私にも非はあるわけだし。

「わ、分かりました……」

私は渋々承諾した。

「それともう一つ」

もう! 今度は何よ!!
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