俺様彼氏に気をつけて!?
「いーち」

「~~~ッッッ」

「ぜー…「千晶!!」」

言った! 言ったぞ私は!!

ヤツが「ぜろ」と言う直前、覚悟を決めて叫んだ。

「――……」

クイッ

「ァッ」

ヤツが私の顎を持ち上げて言う。

「……もう一回、呼んで?」

「ち、千晶」

「もう一回」

「千晶……」

綺麗な顔をあんまり近づけて言うもんだから、私は耐え切れなくなって思わず彼のシャツを握った。

「……ん。合格。よく出来ました」

またあの微笑みだ。

「じゃ弁当よろしくね。また明日、ひな」

そう言い残して彼は屋上から出て行った。

少しすると、校門を出て行く彼が見えた。

午後の授業はサボるんだ……。

「千晶」

その名を呼ぶと、心の奥がトクンと鳴った気がした。

「千晶」

もう一度言ってみる。

すると、自然と笑みがこぼれてきた。

何だろう、心が安らぐ。

「また、明日」

最後に呟くように言い、私はしばらくその場所を動けずにいた――……。










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