ウラコイ+α
司会者は流暢に
進行をすすめていた。
「はぁ―…あ、これ飲んでも平気かなぁ?」
共演者の花田さん
は大丈夫と笑った
何か飲まないと
退屈で仕方ない。
私以外の俳優や
女優さんが賞を受け取っている
まだ新人だから賞を
取れないのは仕方ない。
仕方ない…
「…田中ちゃん大丈夫?顔が真っ赤よ…」
「……大丈…ぶ、うっ…」
気分が悪くなった。
頭がクラクラする、
「ちょっと、トイレ行ってきます。すいません…」
「…私付き添おうか?」
花田さんは
心配そうに言った
他の共演者の人も
同じ顔をしている
「大丈夫…です。ちょっと休めば、すいません」
なるだけ笑顔を
作りながら会場を抜けた
『―続きまして、主演男優賞…"昭和ラブロマンス"薫役、神田……』
会場なドアを閉める時
大きな声がした。
やっぱり
神田君、主演男優賞…か。
良かった。
「うぅ…吐きそう、トイレどこだっけ~。」
中井さんは、挨拶
回りに行ってて場所が分からない
私は近くのイスに座った
「……田中さん!大丈夫ですかぁ?」
近くから甘ったるい
声が聞こえた…。
「……さやさん?」