ウラコイ+α





「ずっと思ってたけど、お前不敏だな。付き合った事ねぇ、槌谷には彼女がいるし……。あぁ俺も不敏か」




指を折りながら
数えて天井を見た






「……神田君っ!」



私は、ずいっと身を乗り出した



床に手をつきよつんばい
で神田君に言った




神田君は目を大きく開いた。





「…あたしは、槌谷君はもう好きじゃないよ!」




「はぁ…」



神田は胡散臭げに私をみてる




言わなきゃ





言わな…





「あの…」
『すいません。修理終わりましたので下ろしますわー、』



「あぁ、はい。」





いいタイミングなのに―
神田君は何も言わなかった











エレベーターは近くの階で
チンと音を立て 開いた




「すいません。大丈夫でしたか?」




ホテルの主任みたいな
人が降りた早々に謝ってきた






「大丈夫です、問題ありませんよ。この女が勝手にした事なのでお気になさらないで下さい」




勝手て。

わたしは
何も覚えてないわよ!



ホテルの人がしきりに
謝るのを



あたしは笑顔で聞いていた






謝罪がすんだ後
ふぅと息をはいた
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