ウラコイ+α


スキー板を外してリフトに乗った





インストラクターの羽賀さんが
隣に乗った



「ひゃぁ、高―っ、きれい―」



「叫び過ぎですよ。高い所は平気ですか?」








「平気です…。」




気遣いが出来る人だな


羽賀さんて。





神田君とは大違い。





付き合って
一年なのに キスぐらいだし…
(暇がない)


デートだってろくにしないし。
(出来ない)



優しくないし、冷たい
(仕方ない)




それに仕事の時は
よそよそしい…


付き合ってるの
ばれないようにって



あたしとは距離を置く







そりゃ仕方ないけどさ、




神田君もあたしも
俳優て仕事だし、






いまが大事で
崩しちゃいけないこと






わかってる。






「着いたよ、田中さん」





羽賀さんは案内してくれた







「わ―、すごいっ!」



遠くの雪山と空が
はっきり見える。






「きれぇ――」



「晴れて良かったよ。運がいいね、田中さん」




「はいっ。……」






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