★ブルーの彼方★
「今日は本当に、盛り上がってくれて、サンキューです!!



本当に本当に楽しくて、あっという間に時間が過ぎてしまいましたが、ラストの曲…



『ブルーの彼方』いきます!



この曲は、大切な人を想って綴った曲で、思い入れが一番強い曲です。



どうか、聞いて下さい」


 木村君は私を見つめ、うなずいて、それからかすかに笑った。



それから、木村君は歌い始めた。



夏休み前に、私宛に書いた歌詞をそっと電車で渡してくれたことがあった。



照れながら、この場所では見ないで!! と言ってた。



まさにその曲だ!



木村君の低いトーンの声が、響き渡る。



微塵も緊張してるのなんか感じさせない、堂々とした歌い方だった。



その声は、私の体を包み込むような感覚だった。


私はただじっと、木村君を見つめた。



木村君の心の中はどうなってるの?



わかんないよ…





 曲が終わると、私は手が痛くなるまで拍手をした。



もっともっと、木村君の曲がこれからも聞きたいと思った。
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