★ブルーの彼方★
「それより、怪我したところ大丈夫?」



 優しい口調で木村君は言った。



「うん」



 痛みすら吹き飛ぶほどの、ライブだった。



「夏季が背が高くなると、何か調子狂うよな」



「そう?」



 ヒールがあるから、木村君に今日はいつもよりも近づいている気がする。



心も近づけたらいいのに…



「いつもと雰囲気も違うし」



 視線を反らしながら、木村君は言った。



それは、良い意味なのかな? さっきは、いいじゃん。って言ってたけど。



「木村君、また背が伸びた?」



「あっ、そうかも。



膝痛いし。



たまに、自分の骨の鳴る音で目が覚めるもん!!」




「すごいね!



目が覚めるほどなんて」


 何だか、別れたのがウソみたいだ。



というか、別れたという事実をまだ認めたくない。



認められない…。
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