★ブルーの彼方★





 何だか、ビクビクしてる自分が情けなく思えてきた。



この場から逃げ去りたい!!



でも、それじゃ…了のアドバイスが無駄になっちゃう。



逃げてちゃ、前に進めない!



「木村君……この子が言ってた子?



この子のこと好きになっちゃったの?」



 私は木村君の目を、そっと見つめた。



 木村君も、視線を反らさず私を見つめている。



でもさっきまでとは違い、別人みたいに魂が抜けてしまったような表情だった。



「ごめん」



 木村君は、力の抜けきった声で言った。





 人から謝られることが、こんなに辛いことだとは思わなかった。



彼女が好きな子だって、認めたってことだよね。


謝られたりしたら、木村君を責めることが出来ない…



「ずるいよ…ずるすぎる!!



どうして! 何で他の人を好きになったりするの?」



 木村君の肩を揺らしながら言った。



どうしようもなく、悲しいし腹が立った。



木村君の視線は、どんなに目の前に私がいても、もうその瞳には映し出されることがないんだ…




心の距離がさっきは縮まったように感じたのに、今…一気に広がった。
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