★ブルーの彼方★
了の優しさ☆
いつの間にか、真っ暗な雲が空を一面に覆い、大粒の雨が降り出した。
私はもう、走るのが辛くなって、靴を手に持ち歩くことにした。
周りの雨具を持っていない人たちが、私の側を走り去っていく。
お気に入りのワンピも、びしょ濡れで台無しだなぁ。
水たまりに浸かることも、どうでも良くなってた。
いつもだったら避けて歩くのに。
ゴツゴツとしてるし、時々すごく小さな石も転がってて痛い。
それでも、ムシムシとして、湿った空気の中では、これくらいが丁度いいようにも思えた。
したたる水滴が涙なのか、雨なのかもわからない。
「夏季?」
後ろから声がして振り返ると、了がいた。
「了……」
「大丈夫?」
了の優しい言葉に、私の目から涙が溢れ出した。
了はさしていた傘を、私の方へと差し出して言った。
もうこんなに濡れてたら、傘があっても関係ない。
でも、了の温かさを感じる。