★ブルーの彼方★
母の恋★
家に帰ると、やっぱり真っ暗だった。
明かりが灯ってる家に帰ったのなんか、もう随分前のことだ。
母に恋人が出来てからというもの、帰りが遅くなる日ばっかりだった。
きっと了の家は、温かくて優しい家族なんだろうな。
そうじゃなきゃ、あんな風に育つはずがない。
あっ、でも出来のいい、弟がいるんだっけ。
だけど私には、比べられる相手すらいない。
こんな静かな場所に、一人でいるとマイナス思考になりがちになるし。
了といたら…
了と付き合ったら…
もしも、もしもそうしたら、この暗い場所も少しは明るく感じれるのかな?
ただ、涙だけが静かに、すーっと頬を伝う。