★ブルーの彼方★





 私は急いで母の手を引いて、全部の部屋を一通り見て回った。



貴重品などを取られた形跡も、誰かが家の中に侵入した形跡もなかった。



荒されていたのは、庭だけだった。



誰が何のために、こんなことをしたんだろう…。




 そんなに、恨まれるようなことをした覚えがない。





 母と二人で、散乱した庭を片付けていた時だった。



ひまわりの花びらの下に、見覚えのある輝く塊を見つけた。



金色でエナメルの紐が付いている。



どこかで……



どこかで見たような……。



気のせいかな?



付いていた土をはらい、気になったのでポケットにしまっておいた。
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