★ブルーの彼方★





 そんな状態だったから、バイトでもまたミスをしてしまった。



ポップに出ている値段と、商品の値段が違うことを、会計の済んだお客さんに指摘され、差額分を返金することになった。


しかし、私の態度がうわの空だったから、お客さんが怒り出してしまった。



「こんなもん、いらん!!」



 そう言って、五十代くらいの、白髪頭のおじさんは睨みつけ怒鳴った。


そして、カラー材をガンッ、とテーブルに放った。





 その迫力に圧倒され、私は固まってしまった。


「す、すいません」



 私はたどたどしく、そう言った。



「本当に、申し訳ございませんでした」



 私の横に、了がいつの間に現れ深々と頭を下げた。



その姿は、とても潔く感じた。



本気を感じた。



私も隣で頭を下げた。
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