★ブルーの彼方★
「私ね、失恋しちゃって…



その彼のこと失って、ほんとに好きだったんだ。


って、心から思ったんだ!



もっと、大事にしとくんだった!! って後々すごく後悔したんだ。



だからお母さんには、そんな想いしてもらいたくなくて」



 私は精一杯話した。



「ありがとう。



でもね夏季…もういいの。



その話は」



 うつむき加減に、母は言った。



「どういうこと?」



「お母さんね、やっぱり亡くなったお父さんのことが忘れられないの。




どうしても。



初めは寂しいって気持ちが、大きかったと思う。



だから、再婚したい、って思った。



再婚しようとしてた人ね、仕事も出来て、色々アドバイスしてくれてたし、すごく素敵な人だと思ってた。



でもね、時間が経ってみてやっぱり…



夏季が言うように、お父さんを裏切るみたいで嫌だった。



お父さんとの絆が、失われていくみたいで…



すごく、すごく、好きだった人だから」



 母はゆっくりと、胸の打ちを語った。



目にはうっすらと涙を浮かべてた。
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