茜色に変わる時
季節歌

夏は、嬉しい。

何かが心の不安を掃ってくれる。

いつも歩いた帰り道、たまに遠回りしたくなる時もあって。

すぐそこ曲がれば椚の木。

昔はよく甲虫を採ったものだ。
今でも採りたいと思う時がある。

別に甲虫が恋しいわけではない。

ただあの時代が恋しいだけだ。
朝早起きして、いつもこの椚を隅々まで見て、木の根本を掘ってみたり。

そして見つけた時の感動、、、今では味わうことのない夏の味。

やがて葉は林檎と一緒に茜色へ変わっていく。
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