空に響け~僕達の生きた時~
「ねぇ…
羽夜斗君はさ、
この病気のこと…
どう思ってる?」
僕にしてみれば、
突拍子も無い質問だった。
「私はね、
この病気になって、
幸せになれたのかな?
自分の生きる意味が
できたのかな?
って
考えるようになったの
何故かは
分からないけどね」
そう言って、
雪さんははにかんだ。
僕は…
この病気のことを
どう思っているかなんて
そんな分かりきったこと
言えるはずも無かった…
だって…
僕はこの病気のせいで…
大切なものを傷つけてきた
だから…
何もいえなかった。
だから
僕は雪さんに
小さな嘘をついた。
「僕は…
分からないな…。」
と、
分からない。
そう…
分からないという言葉で
本当の意味を
隠したんだ。
自分の真意を
知られたくなくて…
真っ白な…
そんな君を
傷つけたくなくて…