ヲタクな彼と秘密のゲーム


ハイテンションな私達に負けないぐらいの大きな声が背後から響いてきた。

普段聞き慣れていない声だが、その声の持ち主は容易に推測できる。


「どうしたの?紗耶…千里ちゃん」


急いできたのか、いや、この学校はそこまで広くないからここまで迷ってきたのか、呼吸を乱している。

さっきは当人の迷惑も考えずあんなに集ってたのに、いざ行動を共にするのは自分の親しい友人、誰も彼女を移動教室に誘わなかったのだろう。

薄情も良いところだ。



「…一緒に行こ?」

「…え?いいの?」


…ぶっちゃけ嫌だけどね。

でもここで一緒なのに彼女一人を置いていくなんてどんだけ性格悪い奴だよ。
とか思ったり。

まあ周知にはとうの昔に『男好きの性格ブス』で通っている事だろうけど。


「ありがとう!!私方向音痴で丁度迷ってて、いや~助かりました!…って、いや、あの、お話しが!」


うん、忙しい人だな。

これまだ彼女だからこそ微笑ましく感じるけど、私がこんな性格だったら周りは余程苛々しただろうな。


「うん、何?」

「あ!えっとね、お弁当ー…を一緒に食べたいなーと…」


…なんだ、それだけ?


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