私の最悪の幼馴染。
麻子の節介
「あ、ごめん、おいていって」


麻子がやっと教室に戻ってきて、私の席の隣に座る。


お昼休みは、皆思い思いのところに座る。


私たちは、昼休みになると、いつも隣り合わせに座った。


「・・・単刀直入に聞くけどさ」
「ん?」
「あのさ、あんた、古田君の事、どう思っているの?」
「どう思うって、・・・どういうこと?」


イライラしているのだろうか、いつもより、麻子の口調に少し棘がある。


「だから、カッコいいとか、好きとか、ただの友達とか」
「うーん、カッコいいとは思うけど」
「思うけど?」
「いや、だから」


そう言いかけた瞬間、教室に隼人の名前を呼ぶ声がした。


「隼人、お客さん。可愛い後輩だよ~」


いつの間にか、隼人も教室へと戻ってきていたようだ。


クラス中の男子たちが、隼人を冷やかす。


一方、女子たちは冷ややかな目で、来客を睨むように見ていた。


「うるせぇなぁ」


まんざらでもない笑顔を浮かべて、隼人は教室の出入り口へ急ぐ。


そこには、長い髪の、可愛らしい女子が一人。


後輩というのだから、1年生だろう。


目がぱっちりしていて、可愛い。


嬉しそうな隼人の顔を見ると、やっぱりアイツも男なんだと実感する。


「・・・で?」
「え?」
「古田君のこと、どう思ってるの」
「え、だから、部活の中まで、友達だよ」


古田君は、私と同じ演劇部。


彼は部長までやっている。


少し頼りがいがないけど、あの見た目と性格の良さで、何とか部もまとまっている。


しかし、何故こんなこと、麻子は聞いてくるんだろう。


「はぁ。・・・あのさ」


麻子は片膝を机について、パンをむさぼる私の頬をぎゅ、と掴んだ。


「イダダダ!?」
「もう17歳でしょ?少しは大人になりなよ」
「どういう意味よ、それ」
「そのままの意味よ、そのまま」


麻子がそう言った瞬間、昼休みの終了を知らせるチャイムが鳴り響く。


私たちは急いで机を元に戻し、自分の席へつくのだった。
< 14 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop