私の最悪の幼馴染。
昼休み、麻子と一緒に教室を出ようとすると、


見覚えのある顔が、入り口のところにいた。


「あ、あの子」
「どうした?」


麻子が私の視線の先に、自分の視線を合わせる。


「あー、昨日教室に来てた1年の子だね」
「よく覚えてるね」
「そりゃね。だって有名じゃない、あの子」
「え、そうなの?」


私は驚いて、思わず大声で尋ねてしまった。


麻子はあわてて私の口を手で隠し、周囲をきょろきょろと見渡す。


「何大声出してるのよ」
「だって、有名何て言うから・・・」
「・・・っほん」


麻子は咳ばらいをし、その1年の後輩について教えてくれた。


「名前は柳瀬玲子。柳瀬市議の一人娘。」
「・・・あぁ、柳瀬市議の・・・」


柳瀬市議、この街で知らない人はいない。


良くも悪くもこの街一番の有名人だ。


市民の為に色々物事を起こそうとする、という心意気は有名だが、


編集社と強いコネクションがあるらしく、


情報収集能力が非常に高いらしい。


自分に不利な情報は潰し、有利な情報は、過剰なまでに流す。


そのやり方は、ある意味政治家の見本かもしれないが。


「おまけに見た目も可愛いし、・・・まぁ、性格はどうか知らないけどね」


麻子の言葉は冷たい。


彼女には、彼女特有の嗅覚がある。


「麻子には、性格、悪そうに見えるの?」
「うーん、どうだろうね。まぁ、ぱっと見性格は良さそうには思えないけど」
「ふーん」


玲子さんの所に、隼人がやってくる。


彼女はとても嬉しそうに話していた。


「あらあら、隼人が狙いですか」
「え?」
「まぁ、行きますか」


麻子に連れられ、私たちは屋上へと歩き始めた。







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