私の最悪の幼馴染。
右手で頬杖をして、隼人の背中を眺めていると、


不意に、隼人がうしろを振り向いた。


ばっちり目があってしまった。


(・・・え)


隼人が真剣な目で私を見つめている。


その瞳は鋭いのに、何故か私の目を捉えて離さない。


・・・どうしよう、目を離すことが出来ない。


体の中を流れる血液が、一気にそのスピードを上げていく。


どうしよう、どうしよう、どうしよう・・・!?


私、どうして・・・。


「・・・さん、高崎さん!」
「・・・へ!?」


頭の上から声が降りかかってきた。


反射的に頭を上げると、そこには古文の先生が私を見下ろしていた。


「今、質問したのですが、聞いてました?」
「え、あ・・・すみません」
「試験前ですよ、ちゃんと寝てますか?
勉強と睡眠はバランスよくとらないと駄目ですよ」
「す、すみません」


周りからクスクスと笑い声が聞こえてくる。


すごく恥ずかしくなってきて、私は首をすくめた。


隼人が私を見たのは、それが理由か。


だけど、隼人は相変わらず私の方を見ている。


その眼は、・・・さっきと変わらない、からかうわけではない、


真剣そのもの。


(どうしてあんな風に見るんだろう)


私は急いで教科書に目を落とし、先生に質問内容を尋ね、それに答えた。


< 28 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop