私の最悪の幼馴染。
「隼人さぁ」


「何?」


私の母親の前とは打って変わって、感じの悪いいつもの隼人の姿に戻っている。


空は快晴。


雲ひとつない。


だけど、恐らく私たちの空気は、天気のマークで言えば、曇りだろう。


「・・・一体アンタのお父さんはいつになったら帰ってくるわけ?」


隣に住む隼人の父親は、頻繁に海外へ、仕事で出張に行っていた。


そして、隼人の家には母親がいない。


若いころ、事故で亡くなった。


そのせいで、父親が海外出張になると、


小さい頃は、いつもうちに預けられていた。


高校生になった今でも、さすがに寝泊まりはしないが、


食事はうちでとっている。


「知らねぇ。2か月はいないんじゃないの?」


隼人は私の方を見ないまま、私の数歩前を歩きながら答える。


「はぁ?2か月も毎朝アンタの顔を見なきゃいけないなんて、勘弁してよ」


舌打ちをして、アイツの背中に言葉を投げつけた。


「何をほざいている。俺様の顔を毎朝拝められるなんて、神様に感謝するべきだな」


「はぁ?頭大丈夫?」


「お前に言われる筋合いはない」


隼人とは、幼いころから一緒だが、小さいころから喧嘩ばかりしている。


私は隼人が嫌いだし、多分隼人も私が嫌い。


それなのにこうやっているのは、腐れ縁ってやつなのだろう。


運命なんて、本当、良いものじゃない。


「いいじゃん。お前のお母さんが良いって言ってるんだから」


「私が良くない。本当、お母さんは甘いんだから」


母親は隼人に甘い。


うちはいわゆる母子家庭だ。


幼いころに両親が離婚して、それ以来、2人っきりの生活。


だけど、何故だか隼人がいるせいか、あまり寂しいと感じたことがない。
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