私の最悪の幼馴染。
「「おはよう!」」


「おはよー!」


教室に入ると、親友の麻子が私の机あたりで待っていた。


私は急いで自分の机へと向かう。


隼人も隼人で、自分と仲の良い男子たちが集う場所へと歩いていく。


「あらぁ。朝から『夫婦』で登校?」


「何趣味の悪いこと言ってるのよ」


にやにやしながら、麻子が私の周りを歩き回る。


「えー?皆噂しているよー。いつ付き合うんだってね」


「バカなこと言わないで!そんなこと言うなら宿題見せないから」


「あー。ごめんごめん」


毎朝、麻子が私の机のところにくるのは、宿題を見るためだ。


麻子は勉強が好きじゃないらしく、私の宿題を写すことで済ませているらしい。


まったく、それでも憎めないのは、麻子の性分なのだろう。


「でもさぁ、本当仲良いよねー」


「誰と誰が」


「彩子と隼人君」


「寝言は寝て言え」


私は鞄から出しかけた英語のノートをしまった。


「あー、ごめんごめん」


麻子が両手を合わせて頭を何度も下げた。


「今日の昼、ラスク追加」


「了解!」


宿題を見せる報酬は、昼ごはんに食べる菓子パンだ。


麻子はせっせとノートを写し取りながら、独り言のようにブツブツ言っていた。


「でもさぁ、うらやましいよ」


「何が?」


「あんなカッコいい幼馴染がいるなんて」






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