連獄 ~終りなき物語~ 【ミステリー】
 男を見たことがある、それもごく最近。奇妙な感覚とともに言いようの無い恐怖に足が震えていた。一体誰なのだろうか?疑問をとともに恐怖で身がすくんだ。彼女に背中を押され、意を決して彼に声をかけた。

「こんにちは」

「どうも…」

 体格の良い男だった。

「てら…うち…?」

 声をかけられ男がこちらを見て言った。やはりどこかで会った気がする。そして足の震えが激しくなった。

「寺内?」

 声を絞り出すように男に尋ねた。

「なぜだか、あんたの顔を見たらふと名前が浮かんできた」

「寺内というのですか、私は?」

「さぁな…俺は…神山…だ」

 少し自信なさそうに神山は言った。震えはだいぶ収まった。やはり自分を知っている人物だった、誰かわからないのだが、少なくとも面識は会ったのだろう。もし、夢の内容に従っていたら、自分は名前をも出すことも出来なかっただろう。安堵からかため息が漏れた。

「何か覚えているのか?」

 男の問いは鋭いものだった。

「…いいえ」

 申し訳無く思い頭を下げた。

「そうか…」

 そうして神山と別れた。



 そしてその日の晩の事…
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